A01-10-16

新しい組織分取法を用いたがんゲノム進化の探索とそれに基づく臨床病態予測の可能性

研究室ホームページ http://www.med.osaka-u.ac.jp/introduction/research/genome/cancer

がんを克服できない要因の一つとして「がんの不均一性(Heterogeneity)とがんクローンの進化」が挙げられます。本プロジェクト「がんシステムの新次元俯瞰と攻略」の前身である「システムがん(システム的統合理解に基づくがんの先端的診断、治療、予防法の開発)」の公募研究として、希少がん・難治がんである十二指腸乳頭部がん(腸型)のClonal evolutionに関する研究を行いました(Yachida S et al, Cancer Cell 2016)。本研究では、同じ十二指腸乳頭部がんでも組織形態像や分子遺伝学的な特徴の異なる膵胆型の十二指腸乳頭部がんを研究対象とします。同様に新しい組織分取法(Glass Chip Macrodissecton、GCM)を用いて、Multi-region exome sequencingを行い、がんのHeterogeneityと Clonal evolutionを検討します。同一部位から発症するがんでありながら、それらの特徴が異なるメカニズムについて、がんゲノムのClonal evolutionの観点から検討するという新しい試みです。一つのがんにおいて、二つのPhenotypeを対象に検討することで、がんの個性を形成するゲノムの進化のパターンを明らかにしたいと考えています。このようにがんゲノムの進化の観点からがんを俯瞰的に観察することで、がんの本態解明、さらにはがんの個性を反映した治療法の開発に貢献することが期待されています。