A01-3-16

システム的統合理解に基づく乳がん術前化学療法の応答性予測

研究室ホームページ http://www.tmd.ac.jp/mri/mgen/index.html

オミックス情報の取得、及びスーパーコンピュータを駆使した大規模データ解析が可能になり、個体あるいは疾患を複雑なシステムとして理解するシステム生物学が急速に発展しつつあります。本研究は、乳がん検体からmRNA, miRNA, DNAコピー数の網羅的情報を収集し、統合解析することで術前化学療法応答性予測システムの構築を目指します。対象は、病期Ⅱ~Ⅲa期の比較的進行した乳がんで、FEC followed by paclitaxelで術前化学療法が行われ、化学療法前に針生検検体が採取・保管されている78症例です。mRNA情報に、新たにmiRNA情報を加え、高度な情報科学的解析技術を駆使して、miRNAとmRNAの統合解析を行い、治療応答性乳がんと治療抵抗性乳がんを規定するmRNA-miRNA情報を抽出します。さらに、DNAからコピー数情報を収集し、治療応答性乳がんを規定するmRNA-miRNA情報とコピー数情報を利用したシステム生物学的アプローチにより、真に治療応答性を規定する分子情報を抽出し、予測システムを構築、乳がん治療データベースの情報を用いて検証研究を進める計画です。これにより、乳がん治療に高頻度に使用されるpaclitaxelの応答性予測が可能になり、治療薬剤選択に大きく貢献することが期待されます。