A01-4-18

ノンコーディングRNAから翻訳される癌関連ポリペプチドの網羅的同定

研究室ホームページ http://www.bioreg.kyushu-u.ac.jp/saibou/index.html

近年、long non-coding RNA (lncRNA)と呼ばれるタンパク質をコードしない200塩基以上でmRNA様の長鎖RNAがゲノム上に膨大に存在することが明らかとなりました。しかし、lncRNAは本当にタンパク質をコードしていないかどうかは実際のところよくわかっていません。私たちはこれまでに、一部のlncRNAがポリペプチドを翻訳していることを見いだし、さらにそれらポリペプチドが生命にとって重要な役割を担っていることを明らかにしました。
 私たちの解析の結果、一部のlncRNAはノンコーディングRNAではなく、コーディングRNAであるということが分かりました。これら新規ポリペプチド群はこれまで見逃されてきた新たな機能性の因子であり、原因不明の様々な疾患に関与している可能性が考えられます。本研究計画では、特にがんの発生や進展などに関与するポリペプチドを網羅的に同定することを目標とします。
 具体的には、(1)In silico解析により、ポリペプチドを翻訳する可能性があるlncRNAを全てリストアップし、(2)それらlncRNAのなかから、ヒトの様々ながんにおいてRNAの発現量が変化しているものや、ポリペプチドのORF中にDNAの変異が存在するものを同定し、(3)遺伝子改変マウスの解析や分子機構の解析を行うことによりがんとの関連性を検討します。