A01-5-18

トランスオミクス解析によるがん悪性進展機構の解明

研究室ホームページ http://www.bioreg.kyushu-u.ac.jp/saibou/index.html

生体内で生じたがん細胞は様々な生体内環境に対して適応するために細胞内システムを変化させること(=システム変遷)で生き残り、より悪性度の高いがん細胞へと進化していると考えられています。このシステム変遷はがんの抗がん剤耐性や悪性進展のメカニズムを理解する上で重要な課題です。しかしながら、前がん状態から悪性度の高いがん細胞に変化する過程の詳細は明らかになっていません。真にがん細胞におけるシステム変遷を理解するためには、クローン化した前がん状態の細胞を用いて、実験的に悪性化を誘導することで多様に生じる細胞系譜を追跡し、それらのシステム変遷を分子レベルで計測する必要があります。本研究では、がん細胞のみが生存可能な環境的選択圧を加えることで人工的に悪性化過程を模倣したモデルシステムを構築し、それら少数細胞に対しても微量タンパク質の検出が可能なiMPAQT法による各段階でのプロテオーム情報およびメタボローム情報を複合的に取得することで、がん悪性進展におけるシステム変遷の統合的理解を目指します。