A02-1-16
研究室ホームページ http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/furukawa/index.html
腫瘍の発生・進展には、複数の遺伝子異常・エピゲノム異常の蓄積が関与している。大腸腫瘍の発生には、APC遺伝子の異常によるWntシグナルの異常や、ミスマッチ修復機構の異常、DNAポリメラーゼのproof readingの異常などが関わっている。大腸がんの発生に関与する遺伝子変異・エピゲノム異常については数多くの研究が行われているが、その前がん病変である腺腫の発生についての統合的な研究は少ない。そこで本研究では、前がん病変が出現する際に、非腫瘍部粘膜上皮細胞に存在する遺伝子変異やゲノム構造異常、遺伝子発現変化、エピジェネティックな変化がどのように蓄積していくのかを解析する。初年度は、同一患者の複数の腺腫と非腫瘍部粘膜に認められる遺伝子変異、ゲノム構造異常を解析する。また2年目以降は遺伝子発現情報やエピジェネティックな変化も解析し、非腫瘍粘膜から前がん病変へと変化する際に、どのようなRNA, ncRNAの変化が見られるかも検討する。これらの情報を統合して、がん発生母地としての前がん病変、さらには非腫瘍粘膜の情報を把握し、恒常性維持システムの破たんが、どのようなメカニズムで引き起こされるのか明らかにする。本研究は臨床ゲノム腫瘍学分野のスタッフ、学術支援職員が中心となり、情報解析は東大医科学研究所ヒトゲノム解析センターの山口類博士らのグループと連携しながら解析を進める。