A01-1 計画研究

がん細胞文脈のシステム的統合理解による新たながん診断・治療概念の確立

研究室ホームページ http://www.tmd.ac.jp/mri/cgen/framepage.htm

今回の研究では、種々のがん細胞・動物モデルや臨床サンプルのオミックス解析を実施して、がん細胞文脈 (Cellular Context) のシステム的統合理解を図り、がんの診断と治療の最適化方法を確立します。具体的には、がん細胞文脈理解のために、がん転移・浸潤性、上皮間葉転換、オートファジー変調、代謝リプログラミングなど種々の悪性特性を検証するためのモデルがん細胞株の確立や、細胞文脈関連ncRNAを探索します (井上、村松、稲澤担当)。独自保有の 446 種がん細胞株ならびに医科歯科大学疾患バイオリソースセンターを拠点に収集される臨床情報付随がんバイオリソースのオミクス解析を行います (谷本、村松、稲澤担当、石川俊平と連携)。得られたオミクスビッグデータをもとに領域代表の計算科学者・宮野悟と連携してがん細胞文脈構成ネットワークと駆動分子を抽出し、細胞系・臨床サンプルによる機能検証を経て、がん細胞文脈依存的脆弱部位を明らかにする。また、領域内計画研究代表者・岡田随象と連携し遺伝統計学アプローチにより患者集団での意義づけやがん細胞文脈層別化に基づくがん治療の個別化、ならびに細胞文脈特異的抗腫瘍効果を指標とした上市薬ライブラリー・スクリーニングと既承認薬再配置 (DR) による fast trackの 実用化を目指します。これは、我が国を含む先進国で深刻な課題となっている「高齢者がん医療」や「医薬品開発」においても重要な課題です。