A01-3 計画研究
研究室ホームページ http://www.med.nagoya-u.ac.jp/molcar/jp/
ヒトゲノムにおいて、蛋白を規定する領域は全体の 2 % に満たず、一方 RNA へは 70 % 以上が転写されています。本課題の目的は、がんとの関わりは勿論、生理的な分子機能さえも殆ど未解明なロングノンコーディング RNA(lncRNA) について、多層的なオミクス解析とスパコンを用いたシステム生物学的解析を統合した研究アプローチをより深化させつつ、がんの発生・進展における役割と分子機構を解明することにあります。全ゲノム的な発現制御ネットワークのハブ分子や、我々が同定した TTF-1 及び ASH1 リネジ生存がん遺伝子や代表的がん関連遺伝子の myc や p53 等の協働分子として機能する lncRNA を、宮野らの計画研究が開発したシステム生物学的手法を総括班を通じて導入し、網羅的に探索します。その上で、分子生物学的手法と次世代シークエンス解析とを統合した全ゲノム的な lncRNA 結合部位の探索・同定や、最先端プロテオミクス解析技術を適用した lncRNA 結合蛋白の網羅的探索・同定、及び、マイクロ RNA を含む他の RNA 分子との RNA interactome 解析等を進めて、がんの発生・進展における役割と分子機能を解明します。すでに、このような統合的アプローチを通じて、MYC の発現に必要な lncRNA を発見し、その結合蛋白も同定して機能の全貌に迫りつつあるなど、がんを lncRNA を通してシステムとして読み解くための準備をしています。また、当該計画研究において同定したがん関連 lncRNA のゲノム DNA 上の結合位置情報や結合蛋白情報等をもとに、岡田らの計画研究や GWAS 研究或いは小川らの計画研究などによる全ゲノム変異解析で得られる大規模データセットを有機的に活用した統合的な情報解析を支援班の協力を得て推進し、がんのシステム的理解を追及します。