A01-1-16
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癌抑制遺伝子p53はヒト癌の約半数で変異が認められ発ガン過程において最も重要な遺伝子です。殆どの癌で転写因子としてのp53の機能が失活することから、p53変異細胞の特性を明らかにすることで、癌細胞が共通して持つ特徴、がんのアキレス腱を知ることが可能となります。我々はこれまでp53によって発現誘導される遺伝子群の解析を継続して実施し、p53を介した癌化抑制機構の解明を進めてきました。今回マウス24臓器における網羅的遺伝子解析の結果、p53によって5000以上の遺伝子が制御されることを明らかとしました。本研究では、p53欠損マウスに生じた腫瘍の全エクソンシークエンス、RNAシークエンス解析、ゲノム編集技術によるp53活性型マウスの作成と遺伝子発現解析、CRISPR/CAS9ライブラリーを用いた合成致死遺伝子のスクリーニング及びヒトがん組織、細胞株の発現情報データなどの統合的解析によって、p53による遺伝子制御機構の全貌の解明を目指します。さらにp53変異細胞の特性を明らかとすることによって、癌細胞に普遍的に効果を示す治療法の開発が最終的な目標です。