A01-3-18
研究室ホームページ http://www.tmd.ac.jp/mri/mgen/index.html
多発性内分泌腫瘍症1型(Multiple Endocrine Neoplasia type 1: MEN1)の原因遺伝子MEN1がコードするタンパクMeninと、活性化されると小児急性リンパ性白血病(ALL)の原因となるMLL(mixed lineage leukemia)が相互作用し、血液の発生を制御することが報告されています。一方、我々は、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の原因遺伝子産物BRCA2がHP1を介してH3K9me3に結合し、MLLファミリー(MLL1, MLL2)と相互作用することを新たに見出しました。これにより、遺伝性乳がん卵巣がん症候群、多発性内分泌腫瘍症1型、白血病の原因遺伝子が一堂に会し、細胞の発がん抑制に係る転写を調節している構図が描き出されました。そこで、本研究では、これら3大原因伝子産物(Menin, MLL, BRCA2)が協働して制御する転写調節機構が、どのような細胞機能を調節するのか、特に組織特異性・共通性を重視し、実験的に収集する網羅的シグナル情報をシステム情報科学で解析することにより解明を目指します。具体的には、ヒストンメチル化機構でのBRCA2の新規機能を解明し、MeninのMLL複合体を介したBRCA2との相互作用メカニズムを解析します。