A01-8-18
研究室ホームページ https://www.ncc.go.jp/jp/ri/division/molecular_oncology/index.html
これまでに、成人T細胞白血病リンパ腫(adult T-cell leukemia/lymphoma; ATL)において、全エクソン解析や低深度全ゲノム解析、RNAシーケンスなどを含む包括的な遺伝子解析を行い、コーディング領域を中心として、ATLにおける体細胞異常を解明してきました(K Kataoka, Nat Genet, 2015; K Kataoka, Nature, 2016)。しかし、それ以外の領域であるノンコーディング領域における解析は十分ではありませんでした。このノンコーディング領域には、遺伝子の転写・翻訳の制御に関与するプロモーターやエンハンサー領域、非翻訳領域(untranslated region; UTR)、スプライシング制御関連領域、ノンコーディングRNA発現領域など、機能的なゲノム領域が存在し、一部の腫瘍で体細胞変異の集積が存在することが報告されています。しかし、ATLでは、このようなノンコーディング領域の体細胞変異に関しては十分に解明されていません。本研究では、ATL患者検体を用いて十分な深度で全ゲノム解析を実施し、ノンコーディング領域の体細胞異常を網羅的に探索することを目指します。さらに、これまでの遺伝子解析の結果と合わせて統合的に理解することにより、ATLの体細胞異常の全体像を明らかにします。また、新規の反復する異常が認められた場合には、機能解析により、ATL発症・進展における役割を解明することを試みます。