A01-2-18
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がんの悪性化には「細胞文脈」が重要な役割を果たします。申請者は、「腫瘍微小環境」という時空間的な多様性、すなわち「細胞文脈」ががん悪性化や治療抵抗性に関与することを発見し報告してきました。本研究では、腫瘍微小環境模倣培養系に晒した培養細胞、及び、マウスゼノグラフト腫瘍組織におけるオミクス統合解析をさらに発展させ、「細胞文脈と行間」の俯瞰的理解からがん攻略を目指します。本研究で、①細胞文脈(タンパク質コード領域)のみならず行間(非コード領域)のエピゲノム、トランスクリプトーム情報と表現系(フェノーム)であるメタボローム、リン酸化プロテオームのオミクス統合数理ネットワークモデルを構築し(神吉康晴と連携)、②、腫瘍微小環境によるがん悪性化の本質的な理解をスーパーコンピューター(ドライ)と分子腫瘍学的手法(ウエット)の超融合から実現し(島村徹平と連携)、③臨床検体に応用することで、がんの未踏次元の俯瞰と攻略を目指します。また、研究計画を実施するにあたって、RNA-SeqやChIP-seqのゲノムワイドな手法や機械は所属機関において十分な経験を有し(連携研究者:神吉康晴、関元昭)、メタボローム、リン酸化プロテオームやインフォマティクス解析の研究連携・協力準備(連携研究者:島村徹平)が整っております。
本研究は、腫瘍微小環境におけるがんのシステム的統合理解から新規癌制御法の開発と、現存する化学療法との併用で相乗効果が期待できる標的分子の探索など治療への応用のための基盤となることが期待できる重要な課題です。