システム癌新次元

がんシステムの新次元俯瞰と攻略

文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究 (研究領域提案型)(複合領域:4701)
研究期間:平成27年度~31年度

 

A01-1-18

加齢の細胞文脈におけるがんの発生基盤となる染色体構造および動態の解明

  • 研究代表者: 田中 耕三(東北大学加齢医学研究所 教授)
  • 連携研究者: 家村 顕自(東北大学加齢医学研究所 助教)
  • 連携研究者: 池田 真教(東北大学加齢医学研究所 助教)

研究室ホームページ http://www2.idac.tohoku.ac.jp/dep/molonc/index.html

本研究では、がんの発生を加齢という細胞文脈でとらえ、加齢個体の細胞やがん細胞の染色体構造・動態の画像データベースを構築することで、加齢にともなって現れる染色体構造・動態とがんの発生や進展との関連を明らかにすることを目指します。がんは加齢にともなって増加する疾患であり、がん細胞と加齢個体の染色体構造には、ヘテロクロマチンの減少など共通する特徴が存在します。またほとんどのがん細胞では、細胞分裂の際に染色体の不均等な分配が高頻度で起こる染色体不安定性という現象が見られますが、染色体異常の頻度は加齢によっても増加することが報告されています。これまで、がん種や悪性度とそのゲノム情報が比較されたデータベースは構築されており、様々な局面で利用されていますが、がん細胞の画像情報によるプロファイリングは熟練した観察眼を要し、そのデータベース化は遅れています。そこで、がん細胞とそれに対応する正常細胞の、間期の核構造や分裂期の染色体構造を比較し、がん細胞と加齢個体の細胞との共通項を見出します。その際、機械学習を用いて、がん細胞の客観的な分類・判定を可能にします。これまでに、がん細胞では、分裂中期に紡錘体中央で整列した染色体で見られる反復運動が減弱しており、加齢によっても同様の傾向が見られることがわかっています。このようにして画像データも統合したデータベースを作成することで、がんを加齢との関連からより包括的に把握し、がんの発生素地としての遺伝的多様性を生み出す分子基盤を理解すると共に、がんの予防方策の提案や早期発見マーカーの同定を目指します。

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