システム癌新次元

がんシステムの新次元俯瞰と攻略

文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究 (研究領域提案型)(複合領域:4701)
研究期間:平成27年度~31年度

 

A01-11-16

個体モデルを用いた大規模シングルセル解析によるがん組織の要素還元論的な理解

  • 研究代表者: 岡本 康司(国立がん研究センター研究所 分野長)
  • 連携研究者: 鈴木 穣(東京大学院新領域創成科学研究科 教授)

研究室ホームページ http://www.nccri.ncc.go.jp/s007/

がん組織はがん由来の細胞とそれらを取り巻く正常組織由来の細胞により構成されるが、様々な階層性と相互作用から成り立つ複雑な組織である事が明らかになってきている。機能的にみると、がん細胞と線維芽細胞や免疫細胞のような非がん細胞は精緻な相互作用により結ばれている。がん細胞と非がん細胞の織りなすがん組織の全体像を理解する事は、がんの本質的な治療戦略を構築する上で重要であると考えられ、そのための革新的方法論の確立が切望されている。本研究では、がん組織の各細胞を解析の最小単位として、それぞれの細胞特性をRNA-seq発現解析で決定し、個々細胞の特性解析の結果を統合して解析する要素還元論的アプローチで、がん組織の全体像を理解する事を試みる。そのために、マイクロ流体チップとバーコード化oligo-dTビースを用いた画期的なシングルセル解析法を用いて、マウス炎症発がんモデルで作成した大腸がん組織、及びマウスPDXモデルで作成した大腸がん、卵巣がん組織を解析し、腫瘍を構成するがん細胞、及び非がん細胞の分類及び各細胞群の特性を決定する。さらに、これらの各細胞群の発がん過程や抗がん剤反応性抵抗性における動態を明らかにし、発がん予防や抗がん剤抵抗性の撲滅を目指した革新的治療戦略の礎とする。本領域における、がん情報数理の研究者のビックデータ解析能力を生かし数万個の細胞のRNA-Seqによるデータを統合解析する事により、バーチャルながん生体時空間におけるシステム的統合理解を深める事が期待できる。

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