A01-2-16
研究室ホームページ http://www.lsbm.org/
癌の悪性化には「細胞文脈」が重要な役割を果たす。申請者は、「腫瘍微小環境」という時空間的な多様性、すなわち「細胞文脈」が癌の悪性化や治療抵抗性に関与することを報告してきた。今回の研究では、腫瘍微小環境におけるオミクス統合解析を発展させ、「細胞文脈」から癌悪性化の俯瞰的な理解と攻略を目指す。具体的には、トランスクリプトーム、ゲノム、エピゲノムに加え、①メタボローム、リピドーム、リン酸化プロテオームのオミクス統合数理ネットワークモデルを構築し (島村徹平、白石友一と連携)、②、腫瘍微小環境のシステム的統合理解をスーパーコンピューター(ドライ)と分子生物学的手法(ウエット)の融合から実現し、③臨床検体情報に応用することで、システムがんの新次元俯瞰と攻略を目指す。また、研究計画を実施するにあたって、RNA-SeqやChIP-seqのゲノムワイドな手法や機械は所属機関において十分な経験を有し(神吉康晴と連携)、メタボローム、プロテオーム、リピドームやインフォマティクス解析の研究連携・協力準備が整っている。
本研究から腫瘍微小環境におけるがんのシステム的統合理解から新規癌制御法の開発と、現存する化学療法との併用に相乗効果が期待できる標的分子の探索など治療への応用のための基盤となる研究が期待できる。