システム癌新次元

がんシステムの新次元俯瞰と攻略

文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究 (研究領域提案型)(複合領域:4701)
研究期間:平成27年度~31年度

 

A01-6-16

大腸がんの遺伝学的不均一性発生様式の生体時空間にわたるシステム的統合理解

  • 研究代表者: 三森 功士(九州大学病院別府病院 教授)
  • 連携研究者: 新井田 厚司(東京大学医科学研究所所 助教)
  • 連携研究者: 加藤 護(国立がん研究センター研究所 部門長)
  • 連携研究者: 宮野 悟(東京大学医科学研究所 教授)
  • 連携研究者: 波江野 洋(九州大学理学研究院生物科学部門 助教)

研究室ホームページ http://www.beppu.hosp.kyushu-u.ac.jp/department/dep_03.html

大腸癌を始めとした悪性腫瘍は様々な遺伝学的背景を持つ複数の細胞の集合体であることがわかっており、これを腫瘍内遺伝学的不均一性と呼びます。腫瘍内遺伝学的不均一性は、様々な治療に対して抵抗性を持つクローンが生まれる原因と考えられており、がんの転移や再発につながります。しかし、この不均一性が生じる様式は明らかになっていません。先行研究の結果から、我々は「大腸癌の腫瘍内遺伝学的不均一性は増殖速度に影響を及ぼさない中立な変異の蓄積によって生じており、その発生様式は全体と部分が相似している。」という仮説を立てました。
本研究では、大腸癌患者より採取したがん細胞から作成したPatient-derived Xenngraft(PDX)マウスを用いた全エキソームシークエンスと、コンピューターシミュレーションモデルによって、腫瘍内遺伝学的不均一性の時間的、空間的な発生様式を明らかにすることが目的です。九州大学病院別府病院外科にて手術を行った大腸癌患者のがん組織を免疫不全マウスに皮下移植し、PDXマウスを作成します。成長した腫瘍を他のマウスに移植することを繰り返します。その過程で採取した複数の腫瘍組織からDNAを抽出し、全エキソームシークエンスを行うことで、時間経過に伴う変異の発生様式を明らかにします。また、レーザーマイクロダイセクション法を用いて微視的、空間的な変異の発生様式を明らかにします。最後に、スーパーコンピューターによってがんの進化を再現するBranching Evolutionary Process(BEP)モデル(開発者:連携研究者・新井田 厚司)を用いて、これらのデータを再現、検証します。得られた結果から大腸癌の腫瘍内遺伝学的不均一性がどのような様式で生じるのかが明らかとなり、がんの増殖速度をコントロールする治療戦略に役立つことが期待されます。

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