システム癌新次元

がんシステムの新次元俯瞰と攻略

文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究 (研究領域提案型)(複合領域:4701)
研究期間:平成27年度~31年度

 

A01-7-16

クロマチン構造変化が引き起こすがん化メカニズムの解明

  • 研究代表者: 前原 一満(九州大学生体防御医学研究所 助教)
  • 連携研究者: 大川 恭行(九州大学生体防御医学研究所 教授)

研究室ホームページ http://tx.bioreg.kyushu-u.ac.jp/

本プロジェクトでは、全ゲノムレベルのクロマチン変動機構について、ヒストンバリアント群を中心に解析し、クロマチンの機能不全に起因した発がんメカニズム(システム破たん)の解明を目指します。私たちは昨年、14種のマウスの新規ヒストンH3バリアントを報告しました。新規バリアントの一部は、強制的なクロマチンへの取り込みによって、細胞分化過程で遺伝子発現のパターンを変化させることを明らかとしました。この結果は、分化前のクロマチンのヒストンバリアント組成が、細胞分化時の遺伝子発現を制御していることを示唆します。そこで第一段階の解析では、骨格筋分化等の正常発生をモデルとして、各H3バリアントのゲノム領域への取り込み位置において形成するクロマチン構造を網羅的に解析します。ENCODE・IHEC等大規模エピゲノムプロジェクトでは、ヒストン修飾、クロマチン弛緩、クロマチン間相互作用のデータがすでに多く公開されています。これら次世代シーケンサーのデータ群と独自取得のデータを組み合わせた比較解析によって各機能未知バリアントの特徴付けを行います。次に、正常筋形成が破たんした横紋筋肉腫をモデルとし、正常組織とがん組織における各H3バリアントのゲノム領域への取り込み、またそれらが与えるクロマチン構造変化の差異を全ゲノムレベルで明らかにします。以上によるヒストンバリアントを介した特徴的クロマチン構造形成の観点から、がん化メカニズムの新たな理解を目指します。

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