A02-4-16
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本研究は、ナノポアシークエンサーを用いたがん細胞の変異検出、および、ゲノム多型や変異間のアリル関係性(フェーズ情報)の解析に向けた情報解析手法を確立することを目的とします。ナノポアシークエンサーMinIONは10kb以上にもおよぶ長いDNA配列を決定することが可能であり、同一DNA分子上に存在する多型および変異を一度にシークエンス、検出することができます。従来のショートリードシークエンス技術では不鮮明であった、複数のゲノム多型および変異間のアリル関係性を直接的に明らかにできると考えられます。本研究では肺腺癌培養細胞モデル系、および、日本人肺腺癌臨床検体を解析対象とします。
ナノポアロングリードデータに対する情報解析技術は発展途上であり、計算科学を駆使した解析手法の確立が必要となっています。本研究ではまず、従来のショートリードシークエンス技術よりもエラー率の高いナノポアロングリードから、目的の多型・変異を精度よく検出、フェージングする情報解析手法の開発を行うことを目指します。
本研究を遂行することによって、肺腺癌における臨床がんゲノムの全体像をフェーズ情報という角度から再構築することができ、ゲノム多型および変異間の関係性をもとにしたがんゲノム進化の理解や、薬剤感受性変異および耐性変異の関係性をもとにしたチロシンキナーゼ阻害剤耐性獲得機序の解明につながると期待できます。